技術解説

2010年6月 4日 (金)

アトキンソンサイクル

プリウスのエンジンは『アトキンソンサイクル』と呼ばれる低燃費タイプが搭載されている。普通のエンジンの場合、吸気サイクルは下死点までバルブを開いたままにしておく。つまり吸気バルブをピストンが最も下がった位置近辺で閉じ、そこから圧縮を開始する。イギリスのアトキンソン氏は「もっと効率を稼げないか?」と考えた。

それこそアトキンソンサイクルで、こいつをベースにアメリカ人のミラーさんが改良を加えたものをミラーサイクルと呼ぶ。高出力を得ることは難しい反面、ディーゼルに匹敵する燃費性能を持つのが特徴。ミラーサイクルはマツダが市販したが、効率の悪い過給を行ったため燃費がいいという評価を得られなかった。

もう少し詳しくアトキンソンサイクルの解説をしよう。前述の通り普通のエンジンはピストンが下がりきった状態まで空気を吸い込んで圧縮を開始する。 1500㏄エンジンなら、1500㏄分の混合機(ガソリン)を圧縮するワケ。アトキンソンサイクルは違う。ピストンが上がる途中までバルブを稼働させないのだ。

初代プリウスの『1NZ』は、1500㏄エンジンなのに1000㏄分の空気しか吸わない。 ピストンは下死点まで下がった後、1000㏄分の空気を圧縮して爆発。爆発した燃焼ガスは非常に高温で、膨張する。こいつを利用し、今度はピストンが下がりきるまで排気バルブを開かない。

何のことはない。1000㏄の空気を吸って、1500㏄分の仕事をさせてやろうという欲張ったエンジンなのである。だから熱膨張比サイクルと呼ぶ。1000㏄の空気しか吸わないんだから(厳密に言えば1NZは吸気バルブを閉じるタイミングで吸える空気の量ふが970㏄エンジンと同等)、当然ポンピングロスも1000㏄と同等。

1500㏄エンジンとして考えるなら、凄くロスの少ないエンジンとなる。 弱点はパワーを出せないこと。吸う空気の量が少ないため最高出力は1500㏄にも関わらず58馬力しかない。カローラの1500㏄エンジンで100馬力だから、実力的には900㏄くらいのエンジンと同等。

いくら燃費がいいアトキンソンサイクルも、このエンジンだけで走ろうとしたら無理だ。最大トルクも10、4㎏mと、これまた1000㏄エンジンと同じレベル。だからアトキンソンサイクルは高出力が求められる自動車用エンジンとして実用化出来なかったのだろう。参考までに書いておくと、現行プリウスの吸気量は1400cc程度です。

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