現代ジェネシス
●もはやクルマ好きなら韓国車?
永:韓国ヒュンダイの正規輸入は撤退寸前となっていますが、並行輸入で導入されたジェネシスクーペに乗ることが出来ました。
国:こんなに早く乗れるとは思っていなかったよ。
永:主にチューニングベースという目的での導入だそうなので、久々に遊べそうな車が出てきたことが嬉しくて前の日は布団に入ってもしばらく眠れませんでした(笑)。
国:車格としては日本車だとスカイラインクーペ級なんだけと、日本での価格は約260万円からでFR+2リッターターボ、昔のシルビアスペックRみたいな狙いなのが面白い。
永:導入の経緯も面白いので紹介しておきたいのですが、元々は輸入元の『ジェネシスジャパン』(チューニング雑誌のオプションやドリフト天国などを作っているディーズクラブ内に設立された会社)の40代中盤のスタッフの方が「シルビアみたいなFR車に乗ってもいいんだけど、そういう車に乗る年齢でもないし」と思い、日本車に限らず自分が乗りたい楽しめる車を探してみようというのが始まりだったそうです。そうしている中、韓国に行った際にジェネシスクーペがレースやドリフトのベース車として多く使われていて、なおかつカッコよくて世界的に希少なFR車で需要も多いからチューニングパーツも豊富に揃っていて、値段も安いので「これは面白そうだ」ということで導入に至ったとのことです。
国:そういう熱い気持ちで日本に入ってきた車っていうのも珍しい。それだけでいちクルマ好きとして嬉しくなっちゃうな。
永:販売は2月11日現在、関東甲信越と中部地方4カ所のチューニングショップで行われています。正直まだ少ないですが、随時扱い店舗も増えていくそうです。
国:今は不景気とチューニングして乗りたいクルマも少なくてというダブルパンチでショップも厳しい状況だから、韓国からやってきた救世主的存在になるかもね。
●カッコいい2ドアとしても魅力満点!
永:撮影していて感じたんですが、カッコいいクルマですね。
国:グリルが今一つな以外、グラマラスなフォルムとか凹凸を上手に使った面構成なんか上手にまとめてると思う。
永:日本では非常に珍しいクルマですから、「あれはどこのクルマだ?」と目を引くところもポイント高いです。
国:これだけカッコよければチューニングベースとか考えずに、スプリング交換で車高落として、ホイールやエアロパーツ付けて「カッコいい2ドア車」として乗るだけでも面白そう。
永:それと直接クルマそのものやスタイルには関係ないことなんですが、ボディーカラーの名前が「カルッセルホワイト」、「アクアミネラリブルー」、「ミラボーブルー」、「シルバーストーン」、「ツクバレッド」など世界各国のサーキットやサーキットのコーナー(カルッセル/ニュルブルクリンクのすり鉢状コーナー、アクアミネラリ/イモラサーキット)の名前なのも妙にツボにハマりました。ちなみに名前は韓国サイドで考えられたものだそうです。
国:ヒュンダイの人もクルマが好きな人が多いんだなあ。
永:インテリアの質感も価格を考えれば、「この値段でこんな立派なクルマが買えるのか!」と思うくらい上質ですね。
国:ウインカーの操作感というか節度が安っぽい以外は、価格が1.5倍くらい高いスカイラインクーペに限りなく近いと思う。
永:ちなみにオーディオはアメリカ仕様を販売する関係で、現状ではラジオが使えませんが(周波数の刻みが違うため)、近々市販品をインストールするためのキットが発売されるそうです。
国:今は標準装備やラインオプションのカーナビが増えて後付けのオーディオ、カーナビのメーカーも大変だから、その点でもパーツメーカー孝行なクルマですな。
●クルマとしても余裕の合格点
永:乗ってみても、失礼ながら最近乗ることがなかった韓国車のイメージを覆すくらいよく出来たクルマでしたね。
国:まずボディ剛性の高さと乗り心地の良さに感心した。
永:試乗しに行った東京 新木場周辺の海側って埋め立て地のせいか道路が荒れてたり、舗装の補修跡が多いんですが、そんなところでも大げさでなくベンツやBMWのように「パタンパタン」と軽快に凹凸を乗り越えていきますね。
Fサスのアッパーマウントはキッチリ補強されている
国:もしかするとエクストレイルみたいに韓国製のザックスダンパーを使っているのかもしれないな。GTカーとしての素質も高いよ。
永:前述のスタッフの方によれば「輸入の際に韓国から船が着く下関から東京から自走しましたが、非常に疲労が少なく快適でした」とのことです。
国:ハンドリングもチェックは出来なかったけど、これだけクルマとしての基本がしっかりしていればかなり期待できそう。
BSのポテンザが標準
永:ハンドリングに関してはノーマル状態でスポーツ走行などに使うと、大きな入力が掛った際にアライメント変化が大きくてアンダーオーバーの変化が激しいそうなんですが、このあたりもすでにラリーの老舗キャロッセから取り付け部をピロ化した調整式のアーム類が出ているので、不満があれば対応可能です。
国:そんなパーツまで出てるのかい!
永:チューニングパーツだったらすでに前後スタビライザー、ボディ下補強のためのブレース、ドリフトの必需品の機械式LSD、シートレール(ブリッド)、チタンマフラー、エアクリーナー、前置きインタークーラー、300馬力台中盤が狙える後付けタービンまで豊富に揃っています。オートサロンではロールバーや車高調なんかも展示されていましたから、いずれ欲しいものは何でもあるようになるのではないでしょうか。
国:それだけパーツがあれば、「どんなクルマに仕上げようか」って考えるだけでもワクワクできそう。俺だったら同じ基本設計のエンジン積んでるランエボXの事故車を見つけてきて400馬力仕様を作る!(笑)。
永:そのエンジンですが、ノーマルだとタービンが小さいせいか扱いやすい性格で特別当たり障りない感じですね。個人的にはノーマルマフラーでも音量は静かだけど、音質が力強くてなかなかいいところ高く評価したいです。
国:一般的な使い方をするならノーマルでも申し分はない。強いて気になったのは2速の入りがいま一つなのとシフトアップの時の回転の落ちが遅いくらいかな。
永:2速の入りの方はかなり固いギアオイルが指定になっているのが大きな要因のようなので、暑い季節やもう少し負荷が高くなってくるとフィーリングも変わるかもしれません。回転の落ちはアメリカの厳しい排ガス規制対応のため電子制御スロットルの閉じが遅めなのが原因だそうです。ちなみにすでに海外にあるブーストアップ対応のチューニングコンピューターでは回転落ちの対応もシッカリされていて、コンピューターとマフラー&エアクリーナーの吸排気関係で230馬力から250馬力が燃料ポンプやインジェクターの変更なしで狙えるそうです。チューニング好きの方ならご存知かと思いますが、S14までのシルビア系だとブーストアップレベルでも燃料ポンプやインジェクターの容量が足りなくて、トヨタ系などのターボエンジンに比べると予算が嵩んでしまいましたから非常に有難いことです。
国:クルコン、サイドエアバッグやスタビリティコントロールといった安全装備完備で価格も260万円で安いし、面白み満載のクルマだったね。正直チューニングという側面を含めてだけど、これだけ趣味性を感じる韓国車に出会えるとは思っていなかっただけに嬉しくなっちゃたよ。
永:こういういいベース車両が出てきたということは素直に歓迎すべきことだと思います。しかし、その反面現行の日本車にジェネシスクーペのようにワクワクするFR車が少ないことがちょっと残念です。日本のメーカーにもクルマ好きや若い人が夢を持てる楽しいクルマを作って欲しいと強く願います。
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コメント
アメリカ仕様というのは、やはり排ガスの関係なのでしょうかね。
スカイラインクーペも、MR20(キャラバンのQR20?)を積んで敷居を下げるなどすれば良いのに・・・と思っています。
アメリカ以上にAT大国になってしまった日本で、それ以上に韓国車アレルギーが強い日本で、どれだけ受け入れられるかとは思いますが、個性を求めるアメリカのユーザーが少し羨ましくもあり、こんにちの日本の恥ずべきところとも思います。
投稿: dino | 2010年2月26日 (金) 19時24分
隠れたる逸品、ヒュンダイ・ジェネシス・クーペ。
これを見て、我々いかに先入観に侵されてきたか思い知らされるのと同時に、並行輸入業者や中古車販売の全国チェーンが同車を本体価格230-240万円で売ってくれたら、少数ながら「目から鱗」の高評価が語られはじめ、それがクチコミで徐々に広まって韓国車が受け入れられる素地がこの国にもゆっくりと広まっていけば面白いと思う。
投稿: 真鍋清 | 2010年6月12日 (土) 23時17分