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2009年10月 7日 (水)

プレマシー

●居住性 一番意外だったのが3列目シートの広さ。スライドドア採用だし最後発モデルだから、成人男性でもキッチリ座れるようにしてくると思っていた。けれど実車を見てあらら? あまり広くないのだ。スライドドアを採用するアイシスに届かないばかりか、通常タイプのドアであるウィッシュより狭いほど。

天井の高さこそ”引き分け”ながら、1列目&2列目シートを私がギリギリ座れる位置にしても、3列目のレッグスペースは足りなくなってしまう。おそらく絶対的な前後長が不足してるのだろう。ただラフェスタには勝っている。3列目の居住性に順位を付けるならアイシス>ウィッシュ&ストリーム>プレマシー>ラフェスタの順。

また、2列目シートの居住性は、3列目シートのレッグスペースを無視すれば全車「ゆったり座れます」。シートそのものクオリティで評価するなら、ベストがアイシス。プレマシーは「まぁ合格でしょう」という評価。カラクリ7thシートについちゃ「非常用ですね」。

●使い勝手 やっぱりスライドドアを採用したことが大きなアドバンテージになっている。日本は駐車場事情悪いため、チャイルドシートを使うような子供の居るファミリーだと開閉式ドアよりずっと使い勝手良い。それでいてスライドドア車特有の”四角さ”を感じさせないのが嬉しい点。

マツダの開発陣に言うと「解って頂けて嬉しいです。スライドドアを採用すると、どうしてもボディ断面が<角>になってしまいます。丸くするのに苦労しました」。カラクリ7thシートは座り心地こそ悪いが、アイデアとしちゃ素晴らしい。3列目シートに座るにゃ2列目シートのセンターウォークスルーがベスト。

それでいながら2列目も3人掛けをしたいというニーズに見事答えてくれている。3列目シートは左右分割で収納出来るため、様々な使い方が可能。ちなみに3列目シートを左右分割収納出来ないストリームとラフェスタは、使うか畳むかしか選べない。「2列目と3列目の片側畳んでスキー積む」なんて不可能。

●走り 車重からするとスライドドア車(2リッターで1450㎏)の平均である。定評あるMZRエンジンなれど、2リッターは振動を抑えるバランスシャフト無し。ATも旧式の4速トルコン。したがって2リッターモデルに関しては、良い意味でも悪い意味でも普通だと思っていい。2,3リッターのMZR搭載車になると、ガラリと印象違う。高回転まで気持ちよ~く回って行く。パワーだって大満足! クルマ好きなら2,3リッターでしょう!

●ハンドリング こらもう「素晴らしい!」と言うしかありません。100mも走れば誰でもが「質感あるなぁ!」と感じるんじゃなかろうか。理由は二つある。一つがボディ剛性。プレマシーを開発するにあたり、ベースをアクセラとした。されどアクセラそのままのシャシだと剛性不足。そこで大幅な補強を行い(このあたりのノウハウ、同じアクセラのシャシを補強して使うボルボV50など参考にしたんだと思う)、ヨーロッパ車並にしたそうな。

二つめがダンパー。「日本製じゃダメ」ということから、ボルボも採用しているベルギー工場製の『テネコ』を使う。さらにリアダンパーは容量と剛性のあるモノチューブ式とした。キッチリとボディ剛性確保し、良い味のダンパーを使えば基本的に良いクルマになる。強い減衰力のダンパーを使っても乗り心地が悪くならないため、ハンドリングを追求出来たとのこと。日本製ミニバンと思えないような奥行きのある乗り心地&ハンドリングです。

●コストパフォーマンス 売れ筋モデルになりそうなのが『20C』。ほぼフル装備の2リッターで184万8千円。質感でハッキリ勝っているラフェスタと同等である(ルーフをガラスじゃないタイプにすれば、7万3500円安くなる)。また、電動スライドドアさえ不要であれば(若いユーザーなら作動遅いため不要かと)、アイシスより15万円くらい安く買えてしまう。スライドドアのミニバンじゃ最安値。上手な価格設定だと感心しきり。

ボディの軽いウィッシュとストリームについちゃ、1,8リッターモデルとプレマシーの2リッターが同等の動力性能。pレマシーの価格を見ると1,8リッターと競争しても戦えるから凄い。半年くらいすればプレマシーも値下げ余地出てくるため、一段と有利になっていく。これだけ気合い入ったクルマと価格設定で売れなければ、マツダのブランドイメージを根本から見直さなければならないかも。ここ10年、マツダはブランドイメージを育ててませんから。

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新しいプレマシーに乗って驚いた。クルマとして凄くいいのだ。これで販売台数が伸びなければ、マツダというブランドやイメージ戦略を一度見直さなければならないと思う。以下、ジックリ紹介したい。

大ホメする前に弱点から書いておく。最大の不満点は、やっぱりサードシートの居住性である。最後発のモデルとあって、ある程度広いことを期待していた。しかもスライドドア採用ということから、対抗馬はアイシスということになろう。けれどサードシートに座ってみたら、アイシスどころかウゥッシュやストリームにも届いていなかったりして。

ウィッシュ対ストリーム特集の時に書いた通り、私はこのクラスのミニバンの”ダミー”みたいなもの。セカンドシートを私が座れる位置にセットして残るサードシートの広さは、2モデル共ビッタリという感じ。ヒザとセカンドシートの背面や、アタマとルーフのクリアランス、ほぼゼロ。私にとってストレス無く移動できる最小限の広さだと思っていい。その基準でプレマシーのサードシートを試してみたら、主としてレッグスペースで厳しい。ヒザがセカンドシートの背面と干渉するし、座面に対し床面が高過ぎる。

ただ「良くない」と評価するワケじゃ無い。あくまでウィッシュやストリームの凄さを高く評価しているのであり、プレマシーだってラフェスタより広いのだから。「後出しだから頑張って勝とうとしてくるんじゃないかな」という私の期待値が高かっただけ。加えてこのタイプのミニバンでサードシートに大柄な男性が乗る機会などないでしょうから……。今のサイズでも160㎝以下の人であれば、2時間くらいの移動も苦にならないだろう。といったくらいの広さをイメージしておいて頂きたい。決して広さで勝負出来るワケじゃ無いと言うこと。

6+ONEコンセプトはいかがだろう? ミニバンのサードシートに座ったことのある人なら、皆さんアクセスの大変さを認識してるに違いない。30歳代後半以上の人であれば、2ドアクーペや3ドアHBのリアシートを思い出すんじゃなかろうか。セカンドシートの座面を倒し、前にスライドさせるという操作そのものは容易なれど、やっぱり乗り降りしずらい。特に車内スペースが狭いプレマシークラスのミニバンだと、大げさに表現するなら「屈伸運動」。小さい子供だと、セカンドシートの操作に伴う危険性だってある(指を挟むとか)。

マツダの技術者もそう考えたのだろう。セカンドシートをウォークスルーにしようと考えた。同時にセカンドシートを2人乗りにしてしまうデメリットも解っており、何とか両立しようと悩んだことは想像に難くない。結果、出来たのが6+ONEシートである。これなら普段”ゆったり4人乗り”として使うことが可能。さらにサードシートを使うリクエストあれば、ウォークスルー通ってサードシートにアクセスすればよろしい。実車で何回か試してみた。写真だと解りにくいものの、普通の体格ならスムーズにサードシートまで辿り付けるハズ。

サードシートを収納して5人座りたい時や7人乗るなら、セカンドシート中央席を引っ張り出せばよろしい。つまりセカンドシート中央席を「臨時シート」と位置づけたのだ。操作方法もイメージするより簡単。シート座面のポップアップは非常に軽い操作力。背もたれの引き出しだってワンタッチ。唯一の弱点は、収納時に残る背もたれ部分か。写真の通りサードシート側に飛び出してしまう。小柄で標準体型の人なら気にならないだろうけれど”ふくよかな”人だと、ウォークスルーからサードシート左席に座るの、少しジャマかもしれない。

このあたりで使い勝手についちゃ終了。何たってプレマシーの魅力、クルマとしての完成度ですから。まずはベーシックグレードの『20C』。Dレンジをセレクトして走り出すと、すぐボディ剛性感の高さが解る。フロアはアクセラをベースにしているけれど、同じなのはサスペンション形式とエンジンまわりくらい。フォードのシャシを担当するようになってからマツダの技術に奥行きが出たように思う。マツダ自身、相当頑張った上、ボルボなどアクセラのシャシを使う兄弟車はどうやってボディ造りをしてるか解ったからかもしれない。

当然プレマシーもボルボと同じく、アクセラの基本を使いながら強固な骨格としてきた。技術者と話をしてると、サスペンションの取り付け部剛性の考え方など現在の日本車じゃ一番気合い入っている感じ。圧倒的に違うのが乗り心地だ。路面の継ぎ目に代表される細かいデコボコで、キチンとサスペンションが動いている。さらにダンパーもベルギー工場製の『テネコ』を採用。驚くべきことにリアのダンパー、モノショック(単筒式ダンパー。ビルシュタインなどが得意とする)だって! 優れた性能を持つ反面、コスト掛かるダンパー形式です。

今回は会場の都合により存分に走れなかったけれど、短い試乗でも明確にライバル車との違いが解るほど良い。デコボコを通過した際、ライバルモデルだと「どしゃん」みたいな振動を伝える。プレマスーは「こす」って感じ。身構えるような大きな段差を通過する場合も、ショックの少なさに拍子抜けしてしまう。重厚感あるのだ。ドイツ車に乗ったことのある人なら理解して頂けることだろう。これだけのボディ剛性感と乗り心地の良さを兼ね備えたミニバン、日本車にゃ存在せず。強いて言えばVWトゥーランあたりか。ま、乗れば誰でも納得していただけるかと。

2リッターのMZRエンジンは「平均的」と評価しておく。145馬力という出力や、振動を打ち消すバランサーを持たないベーシックエンジンのため、シャシで感じたような「楽しさ」が無い。ATもオーソドックスな4速タイプ。違和感あるCVTを使うより良いという意見もあるだろうけれど、今やトルコンATなら5速タイプじゃなくちゃ。旧式のATを使い続けなければならないのはマツダ唯一の難点。マイナーチェンジのタイミングで5速ATを準備したらいいでしょう。ただ10・15モード燃費見ると14㎞/Lで悪くないから興味深い。

絶対的な動力性能も「平均的」。車重1450㎏。スライドドアを採用したため重くなってしまったのだろう。それでもアイシスの1460㎏より軽い。ボディ剛性感の違いなど考えれば、○を付けたい。184万8千円というリーズナブルな価格まで総合して考えると、動力性能もエンジンフィールも余裕の合格点。少なくとも現在販売してる同じ価格帯のミニバンじゃNo1だと思う。続いて世界中で高い評価を得ているバランサー付き2,3リッターMZRを試す。こらもう走り始めた瞬間から「良い!」。エンジンがスムースだしトルクも太い。

2千回転くらいのトルク、2リッターより20%近く太いそうな。エンジンフィールも「上等!」。2リッターの『S』との価格差23万1千円。タイヤサイズが17インチになり、革巻きハンドルやフォグランプなど付くことを考えれば、納得できる価格だと思う。なにより走る楽しさが全然違うのだ。したがってプレマシーを買うなら、優れたコストパフォーマンスの『20C』か、ミニバンで最も楽しい『23S』のどちらか。ベーシックグレードの『20F』はドアミラーが黒になるなど、ちょいとばかり装備的に物足りないと思う。

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コメント

いつもながらとても参考になります。前から良さそうな気配漂う車だったのでとても気になっていました。ありがとうございます。機会ありましたらぜひとも現行型のDISIエンジン搭載車のレポートもよろしくお願いします。

投稿: ogino | 2009年10月 7日 (水) 22時59分

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