ベントレーミュルザンヌ(7月30日)
先日乗ったベントレーについて。ベントレーというメーカーは1919年に始まる。新興メーカーながらル・マン24時間レースに出場(このときにベントレーボーイズという敬称が出来た)。1924年からの7年で5勝するという大暴れをした結果、ロールスロイスに目を付けられ1931年に買収されてしまう。
ちなみにタイヤは21インチ!
黎明期からロールスロイスとベントレーって同じ会社だったワケ。日産とプリンスの関係をイメージしてもらえばよかろう。ロールスロイスは、自社ブランドをショーファードリブンのクルマとしてラインナップ。ベントレーをスポーティな走りを持つオーナードライバー用のクルマという位置づけにした。
実際、ロールスロイスを持っている人の最も歴史ある組織は『ロールスロイス・オーナーズクラブ』。ベントレーの場合『ベントレー・ドライバーズクラブ』である。日産がR34までスカイラインを特別待遇してきたようなもの。いや、も少し正確に書くと「プリンス」というブランドもキッチリ残し続けてきたような感じ。
割と可愛らしいレタリング
1998年にロールスロイスはVWが買収。やがてロールスロイスをBMWに。ベントレーはVWグループに属すことになった。この時から両ブランド共に強烈な「先祖帰り」を始め、原点に戻ろうとする動きになる。結果。ロールスロイスがファントムを作り、ベントレーもコンチネンタルGTという2ドアを世に出す。
さて。ベントレーといえば網目のフロントグリルである。ベントレーのマネをして網目のグリルを採用するモデルも多い。この網目、単なるデザインじゃない。ル・マン24時間レースで大暴れした頃の路面は、小石が普通に落ちていたという。そいつからラジエターを守るために強固な網目構造のバリアを作った。
もちろん金属製
歴代のベントレーを見るとモチや魚を焼くような単なる網目じゃない。高速走行中に小石が飛んできてもキッチリとガード出来るよう、奥行きある。正確には網じゃなく格子に近い。樹脂製の網目風グリルをデザインアイデンティティとしているクルマは、日本車をパクッた中国車と全く同じレベルかと。
搭載されるエンジンは伝統の6,75リッターV8。このエンジンがベントレーに搭載されていることを見ると、いわゆる「ロールスロイスの本体」ってVWにあると解る。VWもロールスロイス解体後、自社製のW12気筒エンジンをベントレーに搭載したものの、ミュルザンヌはV8でございます。
512馬力。今でも「必要なだけ」ですね
とはいえ最新の技術を投入し徹底的にモディファイされており、ツインターボでパワーアップ。エンジンの内部抵抗を徹底的に減らし、気筒休止システムを取り入れ、GM製の古い3速ATも8速ATに進化。結果、100km/h巡航なら10km/Lという望外な燃費を実現するようになった。
驚くのが板金部品。この複雑かつシャープな構造のアルミ製フロントフェンダーは、いくつかの部品を溶接したのかと思いきや一体成形だという。500度に熱したアルミを空気のチカラで曲げるそうな。聞けば航空機の部品を作るときの技術らしい。イギリスってこういうノウハウの宝庫だったりして。
一体構造のフロントフェンダー。高そう
価格は3380万円。安くないけれど、同じ価格のフネと(下の写真は夢の島マリーナだとカローラ級となるヤマハSC-30。3200万円。必要な装備を付けるとプラス200万円程度)比べれば圧倒的に豪華だし技術的にも凝っている。両方とも馴染みのある人なら「クルマってお買い得ね」と感じます。
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