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2009年3月18日 (水)

新型プリウスの価格

新型プリウスの価格を見た人の中から「ダンピングだ」とか「下請けいじめだ」みたいな声が出てきた。ライバルの自動車メーカーの中には今でもプリウ スは赤字で売っていると思い込んでいる人だっているほど。先日来ホンダの人と徹底的にそんな話をしましたから(実はインサイトのデビュー以後、チーフエンジニアから広報の人に至るまでさんざんプリウスの価格について討論してます)。以下、考えてみたい。

まずハイブリッドと標準車の差額から。新型プリウスのシャシをCセグメント(例えばオーリス。独自シャシであの価格は不可能です)だとしよう。オーリスはトヨタがバブルに浮かれていた頃の価格設定なので安くないものの、一回り大きなウィッシュのベースグレードは3列目のシート付きで172万円。装備を揃えるべくサイ ドエアバッグを付けて178万5千円。オーリスの1、8リッターを簡易装備にすれば、やはり180万円くらいかと。

205万円のプリウスとの価格差は約25万円ということになります。続いてハイブリッドシステムを分析しよう。ハイブリッドになって不要となるの、トランスミッションとトルクコンバーターだ。この二つ、クルマ通なら御存知の通り、決して簡単なモノじゃありません。いずれもオーバーホールすれば10万円は下回らない。一方、プリウスの変速機にあたる動力分割機構など、トランスミッションに組み込まれている1部品といってよいほど。

2つのモーター&発電機だって大幅にコストダウンすれば、構造が簡単なだけに安く作れる可能性大。えいやぁで言えば、この12年間でトランスミッションとトルクコンバーター分で動力分割機構とモーターくらい作れてしまう程度の技術開発を行ったんだと思う。高価な素材を使っていない限り、量産するほど安くなる。現行プリウスが出た際、トヨタの要職にある方から「次は行って来いに出来そうです」と聞きましたから。

となると残る大物はバッテリーとインバーター。バッテリーについちゃ現行プリウスは部品で取っても12万8千円。原価を3分の1くらいだとして4万円か。新型プリウスのインバーター、写真を見る限り小型で構造も簡単。これまた数万円という調達コストを実現してるんじゃなかろうか。その他、コスト増の要因はエアコンとブレーキシステムくらい。インサイトでは「コストダウンのため」諦めたタイヤも、トヨタに聞くと「それほど高くないです」。

インサイトだと高価なオプションになってしまうVSA(姿勢制御装置)は、プリウスのブレーキシステムならほぼコスト増無しで実現できてしまう。油圧を電子制御しているので、プログラムだけで対応できてしまうワケ。エアコンのコンプレッサーも「製造工程まで考えれば、皆さん考えているより高くないです」と、 これまた現行プリウスの時に聞いた。おそらく新型プリウスの販売計画をカローラ規模にしたんだと思う。量産効果で全て押し切ろうということです。

確かに初代プリウスの前期型は、実質的に赤字だったかもしれない(開発コストを乗せられなかった、という意味)。しかしマイナーチェンジで収支トントン。現行モデルからキチンと利益が上がるモデルになっていると信頼できる筋から根拠をあげて聞かされた。もはや25万円でハイブリッドシステムを作れるところまで来たということです。もしかしたらトヨタ車の大半をハイブリッドにしようという作戦の第一歩なのかもしれない。

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