CABO 36 エクスプレス

30フィート以上のボートを見ると、ごく一部を除き2階にも「フライブリッジ」と呼ばれる操船台を持つタイプが普通である。見晴らしいいし、気持ち良いからだ。一方、重心高くなり重量も増すため、フネとしての能力や性能を犠牲にしてしまう。そんなことから気合いの入ったフネ好きのため、オープンタイプというのも存在します。

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クルマで言えばオープン2シーターです

上の写真はCABO32エクスプレス。20フィート級ランナバウトのようなボディ形状を持つ。ただこのままだとトローリング用としちゃ使いづらいため「ツナタワー」(サカナを見つけるための監視台)を装着する人が多い。試乗したCABO36エクスプレスはツナタワーとハードTOP付きエンクロージャーが追加されていた。

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こうなるとエアコンも利く。クルマなら電動ハードTOPのイメージ

エンクロージャーを付けておけば、日に当たらないし濡れない。エアコンだって利きます。ちなみにCABOの純正装着のツナタワーは900万円くらいするそうだが、レーシングカーのロールケージのようなようなアルミパイプ製。アルゴン溶接の仕上がりは素晴らしい! 大人4人乗ってもビクともしない強度を持つ。

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ツナタワーのシートはフライブリッジが下に見えるほど高い

下の動画は25ノット程度で走行中、ツナタワーの上から撮ったもの。普通はサカナ見つけるためユックリ走るのだけれど、CABOだと多少悪い海況でも振り落とされずに走れます。ちなみに「走り」についちゃCABOの兄弟と同じく「苦しゅうない」。まぁ試乗した日は穏やかだったので、真価を発揮するまでも無し!

とは言え大きく揺れるので相当の体力が必要

本当に荒れた時のタフさはフライブリッジ付きを上回るそうな。機会あったらぜひ体験してみたい(シビれると思いますけど……)。ヤンマーの420馬力×2で経済巡航23ノット。最高速30ノット+α。CABO本社のデータを見たら経済巡航燃費は90L/h前後らしい。タンク容量1600Lなので17時間走れる計算。

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ヨジ登るのもタイヘンだ。ツナワターでも操船可能

つまり350海里(640km)程度の足を持っていると言うこと。沖縄でも途中で1回燃料補給すれば行けちゃう。実際、最初の写真のCABO32は沖縄から3日半で横浜まで走ってきたそうな! CABOが私でも何とかなる価格帯のフネをラインナップしてくれたなら、最有力候補になると思います。

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手前のソファもテーブルを下に収納すればベッドになる

一方、インテリアは「オトコの世界」的。例えばベッドルームは「個室」(いわゆるマスターベッドルーム)が無く、超高級雑魚寝用のベッドを3つ持つ。2~3人でマーリンを追っかける使い方をイメージしているんだと思う(それ以上乗る時は寄港地の宿に泊まる)。家族で使うのもいい。

インテリアの質感は文句なし!

CABO32も36より一回りコンパクトになるも運転席の前に3ベッドのキャビンを持つ。参考までに書いておくと32はキャタピラ社製461馬力×2基。30ノットで巡航し、35ノット出る。景気よくなったら社員の福利厚生や接待用にいかがか? 私に声を掛けてくれれば管理人&運転手になります。

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右手前のリビングが2段ベットに変身する

価格はCABO36がオプション込みの新艇で7千万円程度。平成18年式の32が純正タワー付けて3880万円とのこと。景気悪いため年式の新しい中古艇を狙うのも面白いかもしれない。

<取り扱い&問い合わせ>キーサイド

 

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CABO 35

CABOと言えば「めちゃくちゃ荒天に強い!」ことで知られる。いつか条件の悪い日に試してみたいと思ってました。別件でマリーナに行くと、ちょうどCABOの35が試乗会を行ってるじゃありませんか。しかも海況は出航停止寸前という”最高”のコンディション。東京灯標のデータみたら南南西の爆風20m弱。波高91cmだって! 

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フロントガラスは流木などが当たって割れるのを嫌ってついておらず

こんな酷い日に出航したことありません。「出られますか?」と聞いたら「この程度なら全く問題ないです」。砂町運河出て荒川の河口を右に曲がるや、もう海は真っ白! 凄い! CABOはどうかというと、首都高の橋をくぐるやイッキに2500回転。18ノットくらい出たまま、真正面からの波を次々越えていく!

いや「越える」というより「叩き割る」というイメージがピッタリかもしれない。ハル(艇体)の剛性たるや驚くほど。波に突っ込んでも「ドシン」とか「バタン」じゃありません。ドスンと波に入って行き、そのまま浮いてくる感じ。このあたりの波は「波長」が極端に短く、全長12mのフネでも船首は波間に突っ込む。

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マリーナに戻ったら出航停止。波高1mを突破してました

その時の、クルマで言う「減衰特性」が素晴らしくいいのだ。もっと驚いたのは横波受けての走り。25ノットをキープしたまま、オートクルーズ(フネの場合は進路をキープする)で何の不安もなく巡航出来てしまう。とうてい35フィートのフネと思えぬ! 参考までに書いておくと、東京灯標の1mの波は外洋だと3mに匹敵する。

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船首のマスターベッドルーム

なにせ波のトップから次のトップまで4秒! 外洋なら10秒以上あります。加えていわゆるデータ上の「波高」の3倍くらいの大波も混ざる。この海況で全く不安無く18ノット以上で巡航出来てしまうのだからビックリギョウテン。ハワイあたりのカジキ釣り好きがCABOを買うの、よ~く解りました。

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リビングダイニング

もちろん「遊び用」のフネとしても使える。マスターベッドルームはセミダブルサイズ。ゲスト用のベッドも2人分。暖かい食事を出せるギャレー+4~5人用のリビングスペースも。メリディアン341セダンのような居住性重視のフネと比べれば少し物足りないかもしれないが、必要にして十分かと。

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ギャレー。電子レンジとコンロ、シンク、冷蔵庫付き

エンジンはヤンマーの5,1リッター6気筒480馬力×2(pdfファイルです)。性能は3400回転で34,5ノット。試乗した日は向かい風20mという最悪の海況だったものの、普通なら2500回転で23,5ノット。この速度だと1時間に83リッターの消費量で済むそうな。けっこう燃費良い。

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ゲストorクルー用の2段ベッド。その気になればリビングで1人寝られます

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小笠原や沖縄にも行けるそうな


とりあえず解説なしです

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SEADOO(シードゥー)

日本で最もポピュラーな輸入PWCがシードゥー(ボンバルディエ社)である。輸入艇と聞けばクルマのように高価なのかと思いきや、最もパワフルな255馬力のタイプで186万2千円(税抜き。以下同)。カワサキより若干高いものの、ヤマハの同クラス艇より安い。輸入バイクが国産バイクと同等の価格を付けているようなモンです。

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乾燥質量はヤマハと同等の372kg

特性は「競技用と同じくらい思いっきりスポーティで、旋回時に無理すると立ち乗りタイプと同じように転倒する」なんだとか。試乗したの、1月の厳寒期の上、防水の上着こそ着ていたけれど、濡れたらパンツまでイッっちゃう普通のズボン(この時期ならドライスーツでしょう)。さすがに転倒して冷たい水に投げ出される覚悟は出来ぬ。

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バイクで言えばドカティのようなイメージか?

したがってビビリながらの試乗となった次第。けれど多少なら(というか相当攻めたつもり。写真参照)全く問題なし。なるほどパワー掛けてハンドル切ると、面白いようにテールスライドして曲がっていく。ヤマハが弱アンダー。カワサキをニュートラルステアとするなら、シードゥーって明確なオーバーステアです。

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次回はウエットスーツで乗りたい

搭載されているのは汎用エンジンで有名なロータックス製の255馬力1,5リッター3気筒スーパーチャージャー。こんな大排気量の3気筒エンジン、始めて出会う。どんな回り方をするんだろう、と思って全開してみたら、意外や意外! あまり振動でない。というか驚くほど滑らか。4気筒だと言われたら解らないほど。

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搭載位置はリア方向

このエンジン、ウルトラライトプレーン(超小型飛行機)などにも搭載されているというから、振動出ないよう精密にバランスを取ってるんだと思う。ピストン回りにゃチタン素材も使っているそうな。トルクを稼げる3気筒のメリットはキッチリ出ており、低い回転域から強力なトルクを発生。そのままトップエンドまで気持ちよ~く回る。

調子こいて伏せ姿勢のまま「ぐも~っ!」っと全開してみたら、あらま! 115km(約63ノット)も出てる! こらもうヘルメット無しじゃ前が見えないし、コケた時にアブナイ。波のある海域なら専用のプロテクターとヘルメットを付けたい。この速度域からスロットル全閉(フル制動)してもバランス崩さないのは見事です。

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バウ(フロント)が少し広がっている独特の船型

モデルラインナップは155馬力1,5リッターNAの『GTX155』が153万8千円。そして過給器付きながらロープレッシャー215馬力の『RTX215』で169万6千円。PWCの場合、中古艇もけっこう出回っており、十分コンディション良くて100万円少々。免許は6万円(講習1日)くらいで取得可能。気分転換が必要ならぜひ試してみたらいい。

RTX X255  /  BPR JAPAN

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CABO43

トローリングをしたことがないため知識不足だったのだけれど、カボ(CABO)というメーカーのフネを見て久々にウナッてしまった。すっごいコダワリなのである。自動車評論家をしてると、ついついアメリカの工業製品をナメたくなるけれど、どっこいとんでもありません!

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荒天もモノともせず、らしい

例えばビス。カボのビスを見ると、見事に向きを揃えてある。カボを輸入しているキーサイドの社長さんが意地になって全てのビスをチェックしたら、1箇所だけ違う位置のビスを発見したそうな。「それみたことか」と思ったら、日本で手直ししたブブンだったとか。

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全てのビスがこう

エンジンルームも配線も見事なA型気質。アメリカものと思えません。室内のレイアウトも質実剛健! 豪華さより実用性なのだ。それでも高価なフネだけあって豪華なんだけれど、キャビンは食事する場所として割り切り、バース(寝室)だって実用性を重視している。

当然ながら荒天にも強い。キャビンの正面にガラス窓を使っていないのは、船首が波に突っ込んだ時に割れないためなんだとか。どんだけデガい波を考えるてるんだ? 航続距離の長さも凄い! 小笠原まで航行出来る足の長さを持つそうな。世界一タフなトローリングボートです。

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フライブリッジも快適至極!

今回試乗した『43』(1億2千万円)というモデルはカボのラインナップのアッパーミドルクラス。800馬力×2を搭載する。湾外に出て全開してみたら、なるほど速い! 2300回転ほど回って34,3ノット(62km)。これだけ出すと1時間300Lの軽油を消費する。

ちなみに18ノットで巡航すれば1時間100L。2600Lタンクを満タンにすると、東京から鹿児島までノンストップも可能。まぁリッター100円の免税軽油で26万円掛かりますが……。こう書くと極悪非道の乗り物に感じるかもしれないが、皆さん年に2~3回しかカジキ釣りに出ない。

しかも5~6人乗って数日遊べる。経済ってお金が回らないと活性化しない。お金のある人はぜひどうぞ! そんなことを考えつつCabo43を堪能す。さすが荒れた海をモノともしないだけあって、ボディ剛性も素晴らしい! カジキ釣りをするならショッピングリストのTOPにしたらいいと思う。

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メリディアン341セダン

このタイプのフネのユーザーは二つのタイプがあるように思う。積極的に海に出て、時にはロングクルージングもチャレンジする人と、天気の良い日に少し海に出るも基本的にマリーナステイを楽しむという「別荘代わりのフネ」を好む人である。メリディアン341セダンは、どちらかというと後者向きか。

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けっこう押し出しの利くエクステリア

34フィートという大きな艇体の割に、エンジンは6リッター330馬力ディーゼル×2とサイズを考えれば小さめ。例えば同じクラスである日産の『N34』の場合、艇体質量7トンで370馬力×2。メリディアン341セダン、質量だって8,3トンある。400馬力×2で平均値か?

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フライブリッジ

試乗してみたら、全開で24ノット(約44km。カタログ値だと26ノット以上)。巡航時のエンジン回転数も高め。そういった点じゃヤマハSC-30に似ているキャラかもしれない。ただ燃費抜群に良い。1時間/80L程度とのこと。立派なリビングスペースやベッドルームを持つフネとしちゃ驚くほど低燃費。

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ギャレー付きのリビングスペース

本日は天気晴朗で荒川沖も波無し。よって荒れた海況での走りは不明ながら(フネの場合、試乗するコンディションで大きく評価が変わると思う)、20ノット程度での巡航なら快適でありました。ゲスト側にしても天気悪ければ無理して海に出て欲しくない。ましてや長い移動などタイクツ。このくらいので性能で何ら問題無いと思う。

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ゲスト用のベッドルーム

一方、フロアプランは素晴らしいとしか言いようがない。4~5人がユッタリ座れる快適なフライブリッジや、高級ホテルのように豪華なマスターベッドルーム、ゲスト用のツインルーム、さらに広いリビングスペースとギャレーを備える(詳しくはこちらを。pdfファイルです)。前述の日産N34と比べれば圧倒的。

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マスターベッドルーム

これで価格は5千万円。フネ+別荘の価格として考えれば納得できる金額じゃなかろうか。60歳になったら購入し、動きたくなくなる70歳代に突入するまで人生楽しむのも悪くない。

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