ヤンマーEX33

●ヤンマー初のプレジャーボート?

ヤンマーのフネと言えば質実剛健! ロープ引っ張ってフネを寄せて飛び乗り、おもむろにエンジン始動。スロットル全開で「グロロロロロ~ッ」っと釣り場に向かうというイメージ。カジを握るのはネジリハチマキにフィッシングベストという、漁師の釣り人の中間くらいのイメージであります。

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けっこうカッコいい!

しかしヤンマーも新しいジャンルを切り開きたかったのだろう。釣りだけでなくクルージングボートとしても使えるようなフネを開発してきたのだった。デビューは2009年のボートショー。私も会場で初めてこのフネを見たのだけれど「これがヤンマーか?」と驚いた記憶があります。

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全長10,63m。全幅3,3mと大柄

全体的な雰囲気はポーナム28L風。ルーフのラインや、ハルの形状からして頑張ってます。それでいてヤンマーのフネらしさを感じさせるラギッシュ(オトコらしい)さが出ている。なかなか上手だと感心しきり。リアデッキには乗船ゲート&カジキを引き上げ場所まで付く。スパンカーは付けないで欲しい。

●インテリアもなかなかの仕上がり

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エアコンはオプション

インテリアも上々。さすがにパッセンジャーシートの仕立てはスパルタンなトラック感覚ながら、ヘルムステーション(操船席)のシートは厚みもあって座り心地良い。個室トイレはヘルムステーションの前。バウに無理すれば2人くらい寝られるバースが付く(微妙なサイズのセンターテーブルも)。

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ステアリングやストッロルレバーは質実剛健

ヤンマーの文法通り、2本レバータイプ。左側が前進-N-後進の切り替えで、右の赤いレバーでパワーのコントロールを行う。ヘルムステーション回りは非常にシンプル。ウッドのステアリングと、ウッド調パネルでも張れば相当見栄え良くなるだろう。スイッチも質実剛健タイプ。

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電動マリントイレ

さすが33フィートになると広いトイレが付く。これなら女性のゲストだって気軽に使えると思う。また、成人男性でも十分な高さを確保。手を洗うシンクまで付いてます。ちなみに私のポーナム26Lにもトイレが付くけれど、用を足そうとすると相当アクロバティックな姿勢を要求される。

●3人くらいまでならオーバーナイトも可能?

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バウバースはやや窮屈

ヤンマーのフネは基本的に日帰りを想定しているらしく、バースなど積極的に確保しようとしていない。EX33も広い室内スペースを持つが、寝ようとしたら3人くらいまで。バウバースに一人。ソファに一人。床に一人といった感じ。1人分でいいから、快適なバースがあったらいいのに。

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ナビシートはやや着座位置低め

ポーナム28Lなどと違い前向きのナビシートを装備するのは有り難いが、どうせならもう少し高い位置に座らせて欲しいところ。これでヘルムステーションのシートくらいの質感あったら文句無し。それでも従来のヤンマーのナビシートと比べれば100倍くらい良いですけど……。

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背もたれは引っこ抜いて差し替える

●走りはタクましい!

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夕方の東京湾で全開を試す!

では試乗と行きましょう。1軸シャフト船ながら、オプションのバウスラスターが付いていたため楽々と離岸。ただヤンマーのバウスラスター、おそらく世界一賑やか。「バルルルルルル!」と元気良い音を出す。エンジンは6気筒5,8リッターのディーゼルターボ。防振マウントのため、けっこう静か。

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6LY2-ST(380馬力)

ただハイブーストの高出力タイプなので、ターボラグ大きめ。2400回転だと22ノットくらい。全開すると3100回転回って30ノットを少し切る程度か? 必要にして十分な性能だと思う。燃費は22ノット巡行なら40L/hくらいとのこと。600Lタンクを満タンにすれば、14時間近く走れます。

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これだけ水線長あると東京湾も余裕

残念ながら荒れた日は試せていないが、大きめの引き波に飛び込んだくらいじゃ全く問題なし。何と言っても日本の海に強いヤンマー。遠征帰りの2~3mくらいの波なら、何なく走れるとことだろう。価格は2089万5千円。これくらいのフネを持てれば、人生何も文句ありませんな。

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ヤンマー ハント24 / Hunt24

釣り好きから圧倒的な支持を得ているヤンマーながら「一般的なマリンレジャーに使えるフネも作ってみたい」という気持があるんだと思う。ハント24のカタログを見ると、見開きから現役を卒業なさった先輩世代をイメージした雰囲気写真が使われています。コッパずかしくなる絵柄ですけど。

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傾いた時に強い側面浮力(復元力)を持たせた艇体設計を持つ

さて。ボートデビューの人にとって最も高いハードルになっているのが価格。イキナリ1000万円とか言われたらビビる。かといって200万円で買える和船+船外機だと荒れた海じゃ厳しい。ヤンマーが出した回答は、1)本格的なディーゼルエンジンを搭載する、2)手頃な価格の、3)荒天に強い24フィート艇だったワケ。

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試乗艇は557万円の115馬力仕様

例えば2リッター4気筒93馬力のディーゼルエンジンを搭載するキャビン付きのモデルで価格は437万円。このクラスのディーゼル艇としちゃ圧倒的に安価である。燃料コストも同じサイズのガソリン船外機と比べれば低い。20ノット巡航なら13~14L/hとのこと(船外機なら25L/h程度)。

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オトコ仕様だからしてエンジン音は大

早速試乗と行きましょう。スロットルを開けていくと、おおおお! トラッドなディーゼルの味であります。一昔前の自動車ディーゼルエンジンと同じく大きなターボラグ付き。2秒くらいするとブースト圧が上がる。振動&騒音も限りなく低いトヨタのディーゼルエンジンの対極にある感じ。

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今日も大漁だ~! って?

「演歌の味」と言い換えてもよかろう。「ぐろろろろろ~っ!」という勇ましい音を響かせて加速していく。115馬力仕様だったこともあり、なかなか元気! 3千回転で21ノット。全開にすると3700回転くらいまで回って27ノットまで出た(93馬力仕様は最高速で3ノット遅くなるそうな)。

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インテリア基本的に何も付いておらず

走りは荒れることの多い日本の外洋を知り尽くしたヤンマーの設計だけに、安心感あります。重心低そうな上、艇体(ハルと呼ぶ)の構造も傾いた時の浮力を確保したタイプ。速度さえ抑えれば相当の波高になっても帰ってこられるタフさを持つそうな。ぜひ一度ヤンマーのフネで荒天を体験したいもんだ。

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船首の小部屋は快適なベッドスペースになってくれる

インテリアは全てオプション対応。フロント部分の小部屋に身長183cmの私でさえ余裕で寝られるベッドスペースを確保してるが、マット類無し。トイレスペースもあるが標準仕様だと単なる荷物スペース。そればかりか運転席シートすらオプションだったりして。装備を欲張るなら100万円分くらい考えておこう。

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ヤンマーだけの特殊な装備であります

ヤンマーの便利装備がチルアップすると完全に露出するドライブ。繋留保管する人は、ドライブのメンテ(水中のままだと貝が付着します)という点で大いに楽チンである。いろんな意味でヘビーデューティなのだ。釣りが80%。20%くらいプレジャーボートとして使うような人にすすめたい。

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安全でメンテナンスが楽。入門艇にピッタリかもしれません

サイドウォールが低いため、小さいゲストを乗せるときは転落に対する注意をしなければならない。大人であっても航行中は必ず座ってもらうべき。ちなみに寒い時期や雨の日もフネに乗りたいという人は、キャビン後部にドアが付くタイプを選べばOK。見た感じもプレジャーボート風になります。

ヤンマーのWeb<ハント24

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ヤンマーFX27Z

外洋に出て釣りを楽しむなら、最低でも26フィート程度のサイズが欲しいところ。もちろんそれより小さいフネでも外洋に出られるけれど、少しでも荒れたら怖い。かといって28フィート以上ともなれば2千万円以上する。そんなこんなで、このクラスは普通の人でも何とか手が届く上限サイズかもしれない。

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キャビンも細身

試乗した『FX27Z』は170馬力の直噴ディーゼルエンジンを搭載し、約1100万円とのこと。ランクルのエンジン積むトヨタのポーナム26Lのライバルだというが、やや細身の艇体となる。ちなみにポーナム26Lの2,95mに対し、FX27Zは2,75m。絶対的なボリューム感もポーナム26Lより小さい。

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釣り好きならヤンマーか?

装備面でもポーナム26L優勢。FX27Zはマリントイレやビルジポンプまでオプション。エアコンなど装着不可能。加えてエンジンだって普通の170馬力に対し、ポーナム26Lだとコモンレールで185馬力だ。クルマの場合、ここまで仕様差あれば勝負にならないのだけれど‥‥。

乗ると全く印象違う。ポーナム26Lの場合、エンジン音や振動を大幅に抑えており、乗用車風。一方ヤンマーは、空中排気のため勇ましい音を出す。振動も元気一杯! エンジン吹かすと「ドドドドド~ッ!」だもの。漁船のオトコらしさを持つ。これはこれで楽しい。同じ価格帯のフネながら、ここまでキャラ違えば迷わないかと。

波当たりは予想外にソフト。おそらく細身の艇体のため、上手に水圧を逃がしているんだと思う。最高速29ノット前後とのこと。燃料消費量20ノットで20Lくらいだとか。インテリアはポーナム26Lをワングレード落としたイメージ。買うなら956万円の140馬仕様か?

と、厳しい評価になりがちのFX27Zながら、フルチルトアップ可能なドライブ(完全に水面上にペラが露出されるため、メンテは楽)や、日本全国文字通り津々浦々でサービスを受けられるといった実用性は素晴らしい。

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ヤンマーFX24CZ

どう見てもフィッシュングボートながら、ヤンマーの分類だと『プレジャーボート』になるから面白い。20ノット巡航なら1時間当たり13L~15L程度と燃費良好な115馬力のディーゼルエンジンを搭載。95馬力エンジン搭載モデルなら645万円と、何とか手が届きそう。

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いわゆる「漁船タイプ」

インテリアは質実剛健。樹脂製ハンドル+視認性の良いメーター類というドライバーズシートと、ベンチ形状のパッセンジャーシート、そして昼寝用といった感じのバウスペースを持つ。4トントラックの運転席と、仮眠ベッドをイメージしてもらえばよかろう。

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トラック風のメーターパネル

オプションでアフトステーション(後部操船装置)も選択可能。一人で釣りをする時など、ここで操船すると便利。離着岸用に使うのもいい。ただスロットルレバー位置が低いため微調整しにくい。もう少し良い場所に設置できたらなおいいのに。

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スロットルはハンドルのさらに下方

走りは豪快! 空中排気とあり、スロットル開けると「ぐろろろろろ~っ!」というエンジン音を響かせプレーニングに入る。重心がめちゃめちゃ低いらしく安定感抜群! 荒れた海で試していないため確かじゃないけれど(引き波は存分に試した)、これなら多少の波も怖くない。

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操縦性も良好。最高速は26~27ノットとのこと

加えてプレーニングと排水状態の領域が良い意味で曖昧。荒れた海でも速度を落とせば何とか乗り切れることだろう。カッコや快適性という点からすれば物足りないけれど、釣り好きなら何の問題も無し。ヤンマーが人気なのも納得出来ます。

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