ヤマハ ナイトロ

フネギョウカイの最大手といえば、アメリカの『シーレイ』である。日本でもシーレイ240260は人気モデルとなってます。私もポーナム26Lと最後まで迷ったほど。しかし残念ながら日本のメーカーを見るとシーレイのような「いかにも楽しそうなフネ」無し。強いて言えばヤマハのラクシアくらいか?

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デザインは個性的で素晴らしい

ただラクシアだってシーレイのような開放感を持っていない。今後大きなマーケットになるだろう中国などを考えれば、ヤマハも4ドアのオープンクーペのようなモデルをラインナップしておきたい。そんな流れで開発したのが今回紹介するナイトロである。商品コンセプトは「維持が容易な船外機を使ったシーレイ」です。

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エンジンが少し見えている

艇体(ハル)の長さは27フィート級。350馬力の船外機をボディ構造物の下に隠すという面白いデザインを持つ。率直に言ってカッコ良いです。もう見るからに「「遊びに行くぞ~っ!」てな感じ。ちなみに基本設計は『エスクワロ』という27フィートのキャビン艇。試乗した『ナイトロX』というグレードだと2190万円。

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バウの形状が特徴的

前置きはこのあたりにして試乗といきましょう。最初のドライバーはマリーナを出てアクセル全開! キンモチ良いし速い! 比較的穏やかな海を5,4リッターV8の「クォー!」という音を響かせ36ノットくらいでカッ飛ぶ! こういう使い方をしている限り、ナイトロはステキだ。ハンドリングだって良好。

東京湾が狭く感じちゃうほど。ベイサイドマリーナから八景島のあたりまでクルージングしてアンカリング。海水浴なんか最高だと思う。そんなことを考えていたら、私の番となった。私の使い方ってヘビーです。そもそも東京湾奥のマリーナだからして、遊びに行こうとすれば観音崎まで1時間半。

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燃費は36ノットで1時間120L。25ノットで70L程度

東京湾なので当然ながら大型船の引き波多く、帰りが荒れた海になることだって普通。そんな時は20ノットくらいで巡航する。それ以上出すと、波でハネて背骨折っちゃう。ということからナイトロで20ノット巡航してみたら‥‥。何と超難しい! 20ノットだと速度が落ちてきちゃうのだ。

というか滑走(プレーニング)状態にならない。安定して走れるの、25ノット以上というイメージ。つまり荒れたら、泣きながら8ノットくらいで帰ってこなくちゃならんです。こう書くと「荒れた日には乗らない。荒れそうになったら全開で帰ってくればいい」。まぁそういうフネです。少し波があればマリーナでパーティだ。

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右側がテーブル

パーティ用のフネ(ギョウカイじゃ宴会船と言う)としての資質は上々。天気良ければ一番上の写真のように5人くらいでテーブルを囲める。天気悪いならキャビンに入るとシーレイのようなレイアウトになっており、5人で囲めるテーブルにギャレーも付く。酔いつぶれたら大人2人がゆったり寝られるバースだってある。

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この奥が案外広いベッドルーム

以上、私の使い方からすれば全く厳しいけれど、天気の良い日だけ乗ってパーティをするような使い方をする人なら愉快な相棒になってくれることだろう。その場合、シーレイとジックリ迷うことをすすめておく。ナイトロを買う予算があれば『シーレイ280』だって手が届いちゃいますから。 

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ヤマハ マリンジェット

カワサキの「ジェットスキー」に相当するヤマハのPWCが「マリンジェット」である。カワサキはスポーツ路線を選択しているのに対し、どちらかといえばラグジーなテイストを持つ。試乗した『MJ-FX SHO』はラインアップ中で最強となるスーパーチャージャー付き1,8リッター4気筒ながら、カワサキより抑えた210馬力というスペック。

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やっぱりヤマハを買うならブルーの艇体か?

試乗してみると比較的低い回転域からピックアップ良い反面、高回転域は伸び悩む。といっても今回はベタなぎというコンディションだたっため全開で走れた。引き波なども多い通常の海況だと、とてもじゃないけれど全開のままなんて無理。したがってレスポンス良く、低い回転域からトルク出すタイプのエンジンの方が扱いやすいと思う。

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NAでも180馬力の高性能エンジンです

操縦安定性はカワサキをさらにマイルドにした感じ。クルマで言うと弱アンダーステアといったイメージか。ハンドル切ってスロットル開けていくと、フロントが少しづつ膨らんでいく。これまた波のある海で乗れば扱いやすさに繋がる。いろんな意味で「フネ」のような乗り味です。ヤマハらしいかと。スポーツカーというよりGT的。

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立ち上がり加速が気持ち良い!

装備も素晴らしい! ドライブ・バイ・ワイヤ(電子スロットル)を採用しているため、様々なエンジンコントロールが可能。ロングツーリングなどの際に便利なアクセル開度を一定に保つ「クルーズ・アシスト」や、マリーナ内で引き波を立てない速度に抑える「ノー・ウエイク・モード」などを標準で装備している。

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いろんな意味でフネ的な乗り味です

意外なことに質量は乾燥で376kgとカワサキより軽く、充実装備の割に189万6千円と高くない。レギュラーガソリンでOKなのも嬉しい点。3人乗りのラインアップは今回試乗した210馬力の他、スーパーチャージャー無し1,8リッター180馬力と、一回り小型(乾燥質量325kg)の1リッター4気筒102馬力。

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浮き姿はこんな感じ

1リッターモデルは138万3千円と魅力的な価格設定となる。その他、ジェットスキーと同じく立ち乗りの一人乗りもラインナップしている。

ヤマハPWCのWebサイト  /  MJ-FX SHO

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ヤマハFR32

本格的な釣りを楽しもうとすれば、やはり50海里程度の距離を楽々移動でき、しかも多少荒れても帰ってこられるようなサイズのフネが欲しくなってくる。となれば26フィートじゃ物足りない。やはり30フィート級(10m)程度くらい必要になってきます。

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フィッシングボートらしくオトコっぽい

ヤマハFR32は正しくそんなニーズに答えようというフネだったりする。32という数字ながらハルのサイズは10mでほぼポーナム28Lと同じ。ただ幅が3180mmと8%ほどワイド。並べてみると、一回り大きく見える感じ。

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ポーナム28Lより幅広く迫力ある

インテリアは小さいながら4人が座れるテーブルセット付き(寝るなら2人)バウスペースを持つ。このあたり、居住性やオーバーナイトは諦めたポーナム28Lと全く違う。個人的にはFR32のコンセプトを好む。キャビンも前向きをシートを2脚装備する。

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バウには4人座れるシート&テーブルも付く

エンジンは日野のトラック用をマリナイズした340馬力ディーゼルターボを1基搭載。さすがにトラック用だけあり、エンジン始動するとそれなりの振動や騒音を伴う。ただ納得できるレベルに収まっており、ヤンマーと比べればジェントル。

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ヘビーデューティな雰囲気が好ましい

けっこう頑丈な艇体を持つためか引き波を受けた時の衝撃も悪くない。波を「叩き割る」という感じ。シャフト船ながら、15ノットくらいまでは進路をチョロチョロ乱す。もちろんプレーニングさせると直進性良好。快適である。最高速は26ノット程度らしい。

燃料タンクは500L。20ノット巡航なら35~40L/hとのことなので、12時間程度/240海里という長い航続距離を持つ。このフネなら大島や三宅島あたりの遠征も存分に楽しめることだろう。

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ヤマハSC-30

「天気の悪い日は海に出ない」と割り切ればキャビンの操船装備(ロアヘルムステーション)など不要。というか天気悪い日のキャビン、揺れまくるため快適と言えず。結果25フィートの『ラクシア』でも驚くほど広いキャビンを確保できた。そのコンセプトのまま30フィートを作ったらどうなるか? いやいや驚きました!

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オシャレなデザインです

30フィートと思えないほどのキャビンスペースを持ち、しかも立派なドア付きのベッドルームまで装備している。タグタイプを除き、このサイズで独立した寝室を持つフネは希少じゃなかろうか。天気の悪い日はバースで存分に楽しめることだろう。インテリアの質感も日本製ボートとしちゃ出色の出来です。

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ちょうど良い”狭さ感”かもしれない

エンジンはボルボD3(190馬力)を2基搭載。5トンに達する艇体重量を考えるとややアンダーパワーか。とはいえ30ノット程度まで出るというのだから十分か? プレーニングに移行するのに時間掛かるくらいです。船底に貝など付着しないよう、メンテに気を付けることをすすめておく。

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反対側にギャレーがあります

巡航時のエンジン回転も高目。パワーのあるエンジンを設定するのベストか? 係留での使用を考えているなら、12月~2月に船底塗装し、まだ水温高い9月中に一度潜って貝取りをしたい。また、荒れた日はスプレーも浴びそう。天気の良い日に海を楽しむためのフネだと考えればいいと思う。

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ハンドルのデザインがイマイチ

逆にマリーナステイを重視。天気悪ければバースで過ごし、週末はフネで泊まるという別荘のような使い方をするなら最高だ。全長10m以内と、係留場所や料金もリーズナブル。3千万円前後のフネの中では相当説得力があると思う。ちなみに22ノット巡航時の燃費およそ50L/h。エアコンとバウスラスタを標準装備。

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